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恋花火***side story
第33章 パンドラの箱
家を出ようと決めてからは、リハビリに行くこともやめた。


もし東京の病院で診てもらえば、どうにかなると信じ切っていた。


…別に、サッカーがまたやれるようになったからって、菜月とどうにかなれるなんか思っちゃいないけど。


サッカー自体が好きだから。


東京での住む場所を部屋で調べていたら、母親が来た。


「…リハビリ行かなくてもいいの?」


怯えきった表情。


俺はおまえのなんなんだよ。


そんな顔をされる覚えはない。


いつもなら、話しかけられた時点で頭にきていたが、もう少しで家を出ると決めたことによって、多少心に余裕が生まれていた。


「行かない。」

「…どうして?」


東京に行くとは言いたくなかった。


それに対する母親の云々も聞きたくなかったし


俺の動向に興味もないだろうと思ったから。


「…学校はどう?」

「楽しいよ。」

「レンは元気?」

「うん。」


無意識にいつもより穏やかな話口調になっていると自分でも思った。


「あの、これちょっと前になっちゃんのおじいちゃんからもらったんだ。名古屋のお菓子。タケル好きだから残しておいたんだ。食べる?」


それは母親も感じていたのか、いつもより饒舌に語り出した。


特に内容もない他愛ない話だけど、こうして二人で話すのは久しぶりだなと思った。


「…今日あいつは?」

「もう。あいつって言わないでよ。…今日は出掛けてていないよ。」


奴がいないと、なんとなく母親も穏やかに見えた。


「お茶淹れてくるね。あ、それともコーヒー?紅茶?」


気のせいかもしれないけど、父親がいた頃の母親のようで、少しだけ嬉しかった。
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