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恋花火***side story
第33章 パンドラの箱
「今なにしてた?」


菜月で抜いてたとは言えない。


「…寝てた。」

「暇〜?」

「じゃない。」

「真夜中に暇じゃないってどーいうこと!笑」


最近はずっと暗い毎日を過ごしていたから


亜美の明るい声に、不覚にも元気をもらった。


「つーかなんの用?」

「用っていうか…」


亜美は言いにくそうにしながら、「あの時はごめんね」


そう謝ってきた。


亜美は先日、高校サッカー部の祝勝会の会場で出くわしたときに


それはそれはデカイ爆弾を落としてきた。


俺が菜月のことを好きだってのをバラした。


「ほんとにごめん。」

「…別にいいよ。」

「てっきり二人は付き合ってるもんだとばっかり思ってたからさー」



…俺だって、そう思ってたよ。


付き合う云々というより


菜月と俺は、二人でいるのが当たり前だと思ってた。


…でもそれは完全に俺の思い違い。


当たり前なんかじゃなかった。


気持ちは伝えなければ意味がなかったのに…


今更後悔しても遅い。


ああしていたら、こうしていたらと嘆くばかりで


現状は何も変わらない。






「…なんかタケル元気ないね。」

「そ?」

「どうせ暇なんでしょ?今から遊ぼうよ。」

「今からって…、もう23時ですけど。」

「あたしがタケルのこと元気にしたげる!」


亜美は中学の頃もそうだった。


俺が元気がないと知ると、持ち前の明るさで引き上げてくれる。


「…もう遅いし、やめとこ。」

「せっかくここまで来たのにー?」

「は?」


まさかと思い、窓の外を見ると


「やっほー!」


亜美が家の前にいて、ブンブンと手を振っていた。


「おまえ知ってる?そういうのストーカーって言うんだぞ。」

「そのストーカー家にいれてもいいんだ?」

「だって…さみーじゃん。雪降ってんのに…」

「ふふ。ありがと。あたしタケルのそういうとこ好き!」


好きとか久しぶりに言われた。しかも直球で。


思わずキュンとしてしまった俺は、結構…いや、だいぶ重症だなと思った。

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