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恋花火***side story
第34章 GOOD GIRL
よく見ると、亜美の指先は真っ赤だった。


「…いつから外いたの?」

「んー…、ほんのちょっと前!7分くらい!」

「7分で随分半端だな 笑」


ほんとは初めに着信くれた時からいたんだろ?


1時間はいたと思う。


だって


指先もだし


鼻も真っ赤じゃん。


「…おまえ鼻水出てんだけど。」

「え!?きゃー!恥ずかしい!セレブティッシュないの!?」

「なにそれ」

「柔らかいやつ!」

「ねーよそんなもん」

「もぉー!」


亜美はとにかく明るい。


真夜中だと、ちょっとうるさいくらい。


だけど今の俺には、これくらいがちょうどいいのかも、なんて思った。


「…なんも飲むもんとかないけど…」

「あ、いい!気使わないで!飲むものなら買ってきたんだ。タケルの分もあるよ。」


そう言って亜美が持っていたバッグから取り出したのは、ホットココアの缶ふたつ。


ホットってパッケージに書いてあるのに、受け取ったのは完全に冷え切っていて。


どんだけ寒い中外にいたんだって


申し訳ない気持ちになった。


「…わりー。」

「なにが?」

「電話シカトしててごめん。外寒かったでしょ?」


そう問いかけると、亜美は急に笑った。


「は?なんか俺変なこと言った?」

「ううん…」


それでも亜美はクスクスと笑い続ける。


「…タケルさ…、前よりも優しくなったし、なんか垢抜けたし。かっこいい。」


そういう亜美も


外いた時間嘘ついたり


飲み物二人分用意したりとか


気がきくようになったじゃんって思った。
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