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恋花火***side story
第37章 あの頃この頃*Riku
頭に血が上り、郁に楯ついた。


…それに郁には、気に入らない所があった。


"キモいって言われた"


…あの時の、深く酷く傷ついた茜の顔が脳裏に浮かぶ。


「これ、やるよ。」


冷静になれない俺に、もうストップだと言わんばかりに、郁は一枚の紙切れを手渡してきた。


その紙切れには、11桁の数字が並んで書かれていた。


「なにこれ」

「エリカの番号」

「はぁ?」

「新しく変わったんだと。」

「いらねーよこんなの!」

「今日会ったんだろ?どうだった?久しぶりのエリカは。」



郁も知ってんのかよ


俺が教える前に、茜も知っていたに違いない


会ったことを教えても、ちっとも驚いていなかったのがその証拠


……なんなんだよ


俺の知らないところでコソコソと


俺に菜月ちゃんは不釣り合いだって


陰でコッソリ馬鹿にしてんだろ?


茜も郁も何も言っていないのに、俺は勝手に疑心を募らせた。



「……証明してみせる」


俺の宣言に、郁はポカンと口を開けていた。


「わかってんだよ…、俺が二番目の男だってのは」


そう


わかっていたよ


最初から


タケルが一番だという事は


…でもそれは、幼馴染として近くにいたから


それだけだろ?


今、タケルはここからいなくなる


きっと菜月ちゃんは寂しくて悲しくて、ボロボロになるだろう


あいつを想って泣けばいい。


そうしたら俺はその涙をそっと拭って


タケルが空けた隙間に


入り込めるから_____
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