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恋花火***side story
第40章 初恋*Riku
_____タケルが消えた



恋のライバルがいなくなって、嬉しいはずなのに。


どうしてだろう。


胸が張り裂けそうになる。


菜月ちゃんとタケルは想いが通じ合ったはずなのにどうして。


そんな疑問ばかりが頭を駆け巡る。


俺はすぐさまタケルに電話をかけた。


けれどその電話には、息が吹き込まれていないようだった。呼び出しの音はせず、無機質な声のアナウンスが持ち主の不在を告げてくる。





















俺は菜月ちゃんを探しに廊下を走った。


タケルがいなくなって、泣いてるかもしれない。


俺はいつも、泣いている君の心の隙につけこんでばかりだった。


今回だって、絶好のチャンスなのではないか。


以前の俺ならばきっとそう思っていた。


けれど、今は_____



















「タケルと仲直りしてね」


そんな言葉が、ふいに口をついて出る。


どうして今まで、こうやって背中を押してやることが出来なかったのだろう。


好きな人が幸せならば、それで良かったのに。


もう一度、その頬にえくぼを浮かべてよ。


その顔が大好きだったんだ。


残念ながら、俺はそのえくぼを間近で見ることは叶わなかったけれど。


……良かったんだ、これで。










"早く大人になってよ"


_____エリカ


あの時のことをもう一度、謝りたい。


エリカの傷なんか御構い無しに縋り付いた俺のことを、エリカはどう思っていた?


今の俺は、エリカの瞳にはどう映ってる?


大切な友達である茜を傷つけて、そんな俺のことをバカだって言ってよ。


また、切れてもいいよ。


もう泣いたりなんかしない。


決めたんだ。


今度こそ


大切な人のことを守りたいって。


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