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文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音
『おはよう、勇くん。』
『おはよう。』
午前中、最初の休み時間。ほのりはいつものように、お弁当を持ってきてくれた。
『毎日ごめんな。部活の朝練もあるのに…たまには、弁当サボッてもいいんだよ?』
『ううん。いつも二人にはお世話になってるから、ほんのお礼だよ!それに、お弁当作るのって楽しいから!』
今日も、ほのりは花みたいに笑う。見てるだけで、幸せな気分になってくるその笑顔に…僕こそ、お礼がしたいくらいだけど。
『最近部活はどう?コンクールの練習、キツい?』
『頑張ってるよぉ!今回の曲は楽器の持ち替えもあって、慣れるのが難しいの。いつもより、もっといっぱい練習しなきゃって感じ。』
ほのりは、中学の頃から吹奏楽部に入っている。毎年夏には“全日本吹奏楽コンクール”という、僕らでいう所の総体みたいな大会があって。それに向け、日々練習を重ねている。