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文句言いっこなしの三重奏
第9章 休符
『ねぇねぇ。英くんのお弁当ってさぁ、いつも2組の子が持って来てるよね。二人は付き合ってるのぉ?』
待ちに待った昼休み。いつもつるんでいるクラスの友人と、向かい合って飯を広げていると。同じく、隣で机を囲んだ女子達の一人が、声をかけてきた。
『いや、付き合ってないよ。』
適当に返事をして、開けたばかりの中身をチェックする。おぉ…今日もすっげーうまそう。まずは…よし、玉子焼きにするか。
『え〜嘘だぁ。だって、手作りのお弁当なんてぇ。普通、好きな人にしか作らないよ〜?』
『それは…まあ、幼馴染のよしみかな。』
…うまっ!
砂糖入りの、甘い味付けが特徴のほのりの玉子焼き。この優しい甘さと、ちょっと中がとろっとしてる所…これが堪らないんだよなぁ。
『ふぅん…じゃあ、5組の鵜川くんに渡してるお弁当。あれも、幼馴染のよしみってことでいいのぉ?』
次は…白ご飯。嬉しいことに今日は、好物の昆布の佃煮が添えてある。口が甘くなった後の塩っ気。これ大事だろ…うん、うまいな!
『てゆーかさ…いくら幼馴染相手でも、フツー弁当作る?しかも毎日、男二人に。ただの二股じゃんね?』
『どっちとも付き合ってないとか、怪しいよね〜?』
『やっぱあれかなぁ…三角関係。とか、あったりするのかなぁ…?』