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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『違っ…あたし、脅してなんか…』
普段、女子には優しい崇臣も。ほのりのことが絡めば話は別だ。例え顔は笑っていても、内心気が立ってるのは間違いない。…ていうか、本心では怒ってるくせに顔は作り笑いって、普通にコエーよお前。
『ちょ…ちょっと鵜川くん、変な言い方しないでよ。ウチらただ、英くんに協力をお願いしてただけなんだから…!』
庇うように、仲間の一人が声をあげれば。
『お願い?それはないでしょ、無関係なほのりを巻き込んでおいて。君ら言ったよね?協力しないなら、ほのりが痛い目みるんだって。』
『それはっ…だから誤解なの…!』
『誤魔化すってことはちゃんと自覚があるんじゃん、無茶苦茶言ってる自覚が。でもおれ…生憎そんな小学生並みの脅しじゃあ、まともに相手する気になんないよ?』
溜息と共に吐き出された言葉が、周りの温度までもを下げていく。崇臣…もう完全に剥がれてるぞ。対、女子用の面の皮が…
『ねぇ、ミキちゃん?』
『………っ!』
『ほら、さっきから下ばっか向いてないでさ。その顔ちゃんと、おれに見せてくんないかな?』
言葉を失い、バツが悪そうに顔を伏せる女子達の元へ。一歩、また一歩と崇臣は間合いを詰めていった。