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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『まあ…ソノ気になったら、いつでも連絡してよ。』
森脇から離れた崇臣は、今度は勝手に僕の机を漁り出し。手頃なノートを見つけるや、切れ端に番号を記して彼女へと手渡した。
『くれぐれも忘れないでね?…お礼の条件。』
最後、森脇に釘を刺した所で何とか事態は終結した。…かと思いきや。
『ちなみにおれ、優しい女の子はみんな好きだから。誰からのお誘いでも歓迎するよ。』
余計な一言とウインクを送り、ようやくこの男は口を閉じた。真っ赤になった森脇達は何を言うでもなく、逃げるようにして教室を出て行った。
『はァ────…
お前なぁ…他所のクラス来て、何て話題繰り広げてるんだよ。どうしてくれんだ、この変な空気…』
『え〜?やだなぁ勇祐、助けてあげたのに♡』
一連の出来事はもちろん、教室に居合わせた生徒達の注目の的だった。こんな大勢の前で女子に啖呵切るわ、挙句に口説くわ…それでよく平然としてられるもんだ。ただ見てただけの、僕の胃の方がもたないって、どういうことだか…
『…飲み物買いに行く。お前も来いよ。』
とにかく強引にでも崇臣を連れ出し、教室を後にした。
(第10章 クレッシェンド)