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文句言いっこなしの三重奏
第11章 対旋律


『それで……
用って何だったんだよ、崇臣。』


屋外にある自販機コーナー。買ったばかりのコーラを一口煽り、隣を向くと


『ん?あー…ハハ、何だっけな〜』


僕から取り上げたコーラで、崇臣はゴクゴクと喉を鳴らした。


『あのなぁ…自分で買えよ。』

『ぷはっ!だっておれ、金持ってきてねーんだもん。』


悪びれる様子なく笑った崇臣は、ご機嫌にベンチへ腰かけた。そして、『いるなら買ってやろうか?』という僕の温かい申し出を断り、もう一口だけとペットボトルを傾けた。


『はーァ…もう夏だよなぁ〜暑っちぃ〜』


言いながら崇臣は、片足を宙でフラつかせた。前へ出せば靴の先が日に照らされ、引くと陰に染まる。そうして数回、日向と日陰の境界線で遊ぶと、眩しげに空を仰いだ。




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