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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『とにかくもう少し…ゲホッゲホッ』
『…あれ、崇、風邪?』
『んー…分かんない。朝からちょっとダルいんだ…』
そこでチャイムが鳴った。
『また帰る時、話そう。』
そう言って別れた数時間後、体調が悪化した崇臣は学校を早退した。下校してからほのりと見舞いに寄ると、季節外れのインフルエンザだと告げられた。
『崇くん、一週間お休みかぁ…寂しいなぁ。』
『うん…』
『インフルエンザじゃあ、お見舞いに行っても会えないもんね。崇くんだって、一人で寂しいよね…』
崇臣の家からの帰り道。
僕は無性に不安になっていた。
『…ねぇ、ほの。』
『んー?』
『明日からしばらく、一緒に帰らない?』
崇臣のいない一週間。
何が何でも、ほのりを守らなくちゃと思った。