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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『勇くん…』
悔しい…
前のイジメの時も、そうだった。
僕は全然、ほのりを守ってあげられてなかった。
『ごめん…ごめ…っ』
あの時誓ったはずだった。僕が守るって…
なのに何で…
『ねぇ、泣いてるの…?勇くん、元気出して…』
どうしてこんな小さな女の子一人、守ってあげられないんだろう。どうして僕は崇臣みたいにできないんだろう。どうして…
『ありがとう、助けてくれて。ごめんね?心配してくれたのに、何も言わなくて…』
『ほの…』
『あのね、来てくれて嬉しかった…ぐすっ…勇くんが来てくれて…あた、あたし…』
…ああ、ダメだ。
『ありがッ…とう…うぇえ…』
ダメだ。僕が泣いてどうするんだ。