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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル
「や、あの、ほのり…
僕ほんと、怒ってはないから…」
「そう…?ならいいんだけど…」
「な、言ったろ。
つーことで、さっきの話決まりな!」
──僕らに、ルールができた日
それはとても曖昧で。
実のところ、ほのりを“手に入れる”って表現も。そもそも“勝ち”の意味も、はっきりと腑に落ちなかった。ただ、明確だったのは…
「勇祐。今後どっちが先にほのりに迫っても、文句なしだからな。今日みたいに悔しけりゃ、先手を打てよ。」
「……分かったよ。」
「ねぇ二人とも、あたしの意思もちゃんと尊重してよう?とりあえずこれからは、お外でチューするのダメだから。そういうの、人に見られちゃ良くないもん。」
“三人一緒”の名のもとに、
ほのりを求めてもいいということで。
「へぇ。じゃあ、チュー以外ならいいの?」
「チュー以外…てぇ?」
「えー言わす?ほら、お胸を触ったりー?」
「ひぇ…崇くん!えっちなのダメなの!!」
ダメなのか…
じゃ、なくて!
「まあ…
いずれはそういうのも含め、競争だよ。」
そう囁いてきた崇臣の言葉のとおり。僕達はその後、普通なら恋人に求めるようなコトを、幼馴染のほのり相手に次々求めていった。
いつしか、身体を許し合うことまでも経験して。それは高2の今に至るまで、もう何度も。
…別によかったんだ、それで。
僕にはきっと、それが最良だった。ただ崇臣と共に、ほのりを求め続ける日々があるだけで。
本当の事。
崇臣の考えも、ほのりの気持ちも…
何も知らないままいれば、或いは。
この先に待ち受ける終焉も、どこか変わっていたかな…?
知らなければよかった。
この檻に隠された真実なんて、僕は…………
…とにもかくにも。
僕らのルールは、こうして始まった────
(第2章 アンサンブル)