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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル


ルール:先に手に入れた方が、勝ち

但し、抜け駆けは厳禁。
   必ず三人一緒にいる時に行うこと。








中2の夏、
蝉しぐれの夕焼けで…


「…よかったな、勇祐。夢が叶っただろ?」

「…うるさい。」


チリチリチリ…と、
やけに響く三人分のチャリの音を聞きながら。あちこち痛む体で歩いた、土手の帰り道。


「ま。これからも三人、仲良くやっていこーじゃん。大人の階段のーぼる〜♪的な?なあ、ほのりもそれがいいよな?」

「…うん、三人一緒なら。」

「な、勇祐も。いいよな?」

「………お前、暫く話しかけてくんな。」

「あはは、じゃー後にすっか!」


あの日──


「勇くん、わがまま言ってごめんなさい…急にファーストキス頂戴、なんて…やっぱり怒ったよね…?」

「えっ……い、いや…」


──好きな子と、初めてキスをした日


「まさか!勇祐が怒るもんかよ。何せ、ほのりとチューするっていう長年の夢が…」

「崇臣ッッ──うるさいって!」


──ライバルに、好きな子の唇を奪われた日


「あっれ〜、勇祐イラついてる?(笑)」

「…っ当たり前だろ!誰のせいだよ…!」

「もう崇くん、あんまり刺激しないで!本当にごめんね、勇くん…!」


良くも悪くも僕達は、
幼馴染の枠を飛び越えてしまった。


…もう誰一人、後には退けない。




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