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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『…で、どうする?ウチくるか?』
最寄駅に着き、崇臣が意味深に微笑んだ。それを見て、僕もほのりに視線を送る。
『ほのりは…大丈夫?』
『あっう、うん…遅くならないなら…』
肩をすくめて俯くほのりの背に、僕と崇臣が両側から手を添える。
『勇祐、昨日は抜いたか…?』
内緒話の要領で身を寄せ、崇臣が囁く。
『い、いや…』
僕は、間のほのりが気になって、歯切れの悪い答え方をした。案の定、ほのりは余計俯いちゃうし、崇臣は片眉を上げて、ニヤリと笑ってきた。
『じゃあ…今日は勇祐だけでいいぜ。ほのり、それならあんまり遅くならないな?』
『う、うん…』
合意を取りつけた僕達は互いに目配せし、軽く頷いた。
ひっそりと。
三人だけで共有する秘密の会話に、体が熱くなる。僕らは急ぎ足で、崇臣の家を目指した。
(第3章 前奏曲)