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文句言いっこなしの三重奏
第6章 カノン
『じゃあな、ほのり。』
『また明日。』
『うん、送ってくれてありがとう。二人ともまた明日ね!』
ほのりの自宅前。玄関ポーチの明かりの下、互いに手を振り合った、その時…
『あら…崇臣くん、勇祐くん。』
背後から、声がした。
『…あ、こんばんは。』
『こんばんはーっす。』
揃って会釈をした僕達に、朗らかな笑みを向ける一人の女性。彼女は…
『こんばんは。…フフ、どうやら失敗ね。一足遅れちゃった。』
『え…お母さん?!何で?そんな所で何してるの?』
ほのりの母親。
『おかえりほのりちゃん。そう、ちょっとね…その…お醤油がアレで、その……ねっ!』
ふんわりと優しいオーラに包まれたその人は…スーパーの袋を掲げ、ついでに舌をチョロっと出して、愛嬌を振りまいた。