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思い出のアルバム
第3章 それは突然に
先輩を追いかけて数週間。季節は6月になっていた。
相変わらず見てるだけで何も進展がない。
そんなある帰りでの事。
今日は、由美は先に帰ったので1人帰っていた。
帰りは部活の終わる時間が違うのか、先輩と会うこともなかった。
電車を降りて、駐輪場へ向かう。
自分の自転車の方向に歩いていると
「ねぇ…これ落としたよ」
腕を捕まれてビクッとなって振り返る。
「ごめん…驚かせた?でも、これ落としたよ」
その顔を見て、何も言えなくなってしまった。
先輩だった。
「あれ?!違った?多分、そうかなって思ったんだけど…」
「あ…いえ…私のです。ありがとうございます!!」
「じゃぁ良かった。はい、これ」
優しい微笑み…
一瞬触れた指にドキドキした。
渡して颯爽と帰って行く後ろ姿を眺めるのが精一杯で
その場から1歩も動けなかった。