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思い出のアルバム
第11章 俺はそんな男じゃない
バスが学校に着き、場所をカラオケへと移す。
歌いたくなったら歌うが、大抵話して終わる。
誰にも聞かれないから、深い話も出来る。
男に負けないくらいの下ネタも……。
「あー本当にムカつく!!やっぱりあの時別れてれば良かったー!!」
はいはい、何回も聞いたさ。そのセリフ。
「でもさぁ、夏奈プライド高いからあの時別れてると思ったよ。続いてたんだね…」
「まぁ…そうなんだよね…。ほら、沙織の先輩の話聞いてさ、その1回で沙織を失うくらいならー的なやつ。あれけっこう胸に刺さってさ。
あいつにも話したんだよ…そしたら、俺だってお前失いたくないよ、こんなに俺を満足させてくれる女いないって言われて……。まさか性欲をって意味だったとはさー」
由美が飲んでいたジュースをブフーっと吹き出した。
私はもう夏奈のそういう発言には慣れていた。
「…捉え方でだいぶ意味変わるね……」
ジュースを拭きながら由美がポツリ。
うん、確かに。
「そうだ!!沙織!!再来週の土日って先輩の大学、文化祭でしょ?行こうよ!!」
夏奈が目を輝かせている。
よくもまぁ都内の大学の事まで知ってるなぁ……
「土曜日にしよ!!イケメン居るかもしれないしー」
由美はデートだから…と断るが、私は元々修ちゃんに“遊びくれば?”と言われていたので、夏奈と行くことになった。
「よし!!そうとなったら…歌うかぁ!!」
「ちょっと待って!!」
それまで口少なかった由美が口を開く。
「2人に相談があるんだけど……」
普段、うちらから話を聞くことはあっても、自らの話を自ら話するのは珍しかった。
だから同時に2人して嬉しくなっちゃって…
「んで、話ってなーに?」
テンションが上がってしまった。
「いや……やっぱりいいや。何でもない!!」
「何でもなくないよ。どうしたん?由美達順調じゃないの?」
モジモジ真っ赤になりながら、やっと口を開く。
「………2人はさ…エッチするとき……男の人のやつ…舐める?」
普通の相談かと思いきや爆弾を落とされた気分だった。
でも、確かになかなか聞きづらい話だな。
「私はね……」
夏奈が話始める。
結局この日も歌を歌うことはなく終わった。