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思い出のアルバム
第14章 悩みの末に
あっという間に季節は春を迎えた。
沙織も高校3年になり、部活と受験に勤しむ日々を送っていた。
春休みに修ちゃんが実家に帰ってきたので、何日か過ごすことが出来た。
「あー今日からまたテストだもんなぁ…3年ってヤダねぇ……」
朝の通学電車で由美が言う。
相変わらずいつもの電車。
先輩と一緒に居た時間より、居ない時間が長くなってしまった。
周りを見れば、まだまだ電車通学になれない子も多く見受けられ、
先輩を追いかけていたあの頃を思い出す。
自分もあの時の先輩と同じ…3年になったんだな…。
感慨深く思っていると
「ちょっと聞いてんの?!」
由美の顔が目の前に現れた。
「ごめん……ぼーっとしてた…」
「珍しいね。また何かあったん?」
「いや……なんか懐かしいなぁって。新入生っぽい子見るとさ、修ちゃんを追いかけてた頃思い出して。よくあんなガキだった私を相手してくれたなぁーって……」
ちゃんと校則を守っているだろう身なり、まだ幼さ残るあどけない表情。
私が今、高校1年の子に告白されても、全く相手にしないだろう…。
「そだね……。奇跡だね!!いや……運命だったんじゃない?」
「運命ねぇ……」
私と修ちゃんが運命で結ばれたのなら……
何があっても大丈夫なんだろうか。
「でも、しばらく会えないの寂しいね……」
「そだね…でも、部活も最後だから悔いなくやりたいし、それ終わったら受験だし…仕方ないよ」
「沙織は……東京行くの?」
「・・・・・・・まだ考えてないよ」
「そっかぁ……」
高3になった今でも、正直、将来やりたいことが見つからなかった。
でも、東京へ進学すれば……修ちゃんと少しでも近くに居れるんじゃ…
その思いはずっと頭にあった。
が、そんな理由で東京へ進学するなんて、家の親が許してくれる訳はない。
それに……
修ちゃんにも、俺と一緒に居たいってだけで来るのはどうかと思う。何かあっても俺、責任とれないよ。と
はっきり言われてしまった。
まぁ……当たり前な話だけど。