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思い出のアルバム
第3章 それは突然に
人混みが去った後、ゆっくりと改札へ向かう。
先輩に手を繋がれて…。
腕を掴まれ、離してくれと懇願したが
逃げるだろ?と断られ、そのまま腕から手に移動した。
沈黙が続く。
先輩…
手なんか繋がれちゃったら…期待しちゃうよ。
私、好きでいていいの?
彼女…いるんじゃないの?
「何で最近、朝電車乗ってないの?」
沈黙を破ったのは先輩だった。
・・・・・答えられないよ。
先輩に彼女いるって思ってるなんて…。
「先輩…そんなに私の事気にしてくれてたんですか?」
ワザとニッコリおちゃらけて聞いてみる。
それなら違っても、真剣な眼差しで言われるよりマシだから。
「・・・悪いかよ」
そっぽ向きながらの答え。
先輩…照れてる?!
歩いていた足が止まる。
偶然にも自分のチャリの所だった。
「先輩……」
呼んだ瞬間
「・・・・・・ッッ」
唇を塞がれた。
軽く触れただけのキス…
いきなりすぎて、目も開けたままキョトンとしてしまった。
唇が離れ、私より少し背の高い先輩と視線が絡む。
「そんな顔すんなよ…」
「そ…そんな顔って…」
「眉間にシワ…睨むなよ。…ごめん、いきなり」
謝られて不安になる。
今のは…何なの?
「朝、見かけない日が続いてさ…なんか妙に気になって。1人で居ると、そう言えば最近、楽しかったなって気付いてさ」
夢…なのかな。これ。
「今帰り、久々にお前の顔見たら…なんか嬉しくなってさ。やっと会えたって…俺、お前の事好きなんかな」
嬉しくてまた涙が零れる。
まさか…まさかだよ。
先輩が私に…
こうして私達の付き合いが始まったんだ…。