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キセイジジツ
第1章 帰省
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まぶしい。
そこにいるのは…だれ?
「ゆーり」
わたしのなまえをよぶ。
やさしいこえと
すこしおおきなてのひら。
あたまのうえが
なんだかあったかい。
「ゆーり」
どれだけかおをみつめても
かおがみえない。
てのひらがそっと
わたしのほほへとふれる。
「おおきくなったら、けっこんしようね」
おとこのこがいう。
「うん!けっこんする!」
わたしがこたえる。
「ゆびきりげんまん、しよう」
こゆびとこゆびをからませる。
「ゆびきりげんまん
うそついたら はりせんぼん のーますっ
ゆびきった!」
そっとはなれるこゆび。
「やくそくだよ」
おとこのこがわらった。
ーーーーーーー
いつもここで目が覚める。
物心がついた頃から夏の時期になると頻繁にみるようになる。
この'おとこのこ'が誰なのかは分からないけど、幼い頃にこんな事があったか全く覚えてない私はよく見る夢のひとつだと気にしてなかった。
ーーー幼なじみに男の子っていないしね。
ベットから起き上がり洗面所へ向かう。
ーーーあの夢が本当にあった事なら、あの子は私の婚約者ってやつ?…なんてね。
顔に付けた泡を洗い流す。
ーーーもし本当に正夢になるなら、あの子はたけ兄ちゃんならいいのに。
タオルで顔を拭いて鏡を見るとニヤニヤした自分の顔があった。
思わず洗面所の入口を振り返る。
誰もいなくてホッとしながら静かに部屋へ戻った。
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