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キセイジジツ
第15章 距離

何で…頭を撫でるんだろ。

何で…顔が熱いんだろ。


「ま…さと…さん…」

見上げると真人さんは真顔になった。

「りっちゃんさ…」

「お待たせー」

真人さんが何か言いかけた時、悠里が戻ってきた。

トレイを抱えて大変そう。

「りっちゃん、いいよ」

立ち上がろうとする私を真人さんが止めてドアに向かう。

必然的に頭から手が離れてホッとした。


ーーー助かった…
でも今…真人さん、何て言おうとしたんだろ?


真人さんが悠里からトレイを受け取っている。

「ありがとー。あれ、お兄ちゃんどうかした?」
「いや、別に…」
「ふーん?…あ、りっちゃん、どうするか決めた?」

悠里が私の隣に座りながら顔を覗いてきた。

「あ、うん。確かめてみる。けど一人じゃ心細いから、悠里付き合ってくれない?」
「うん、いいよ。あっでも私…旋さん嫌いじゃないけど苦手…」
「確かに…。やっぱやめようかな…」


「こら。一度決めた事はちゃんとしなさい」

真人さんが苦笑いしながら悠里と私の頭を軽く小突く。

「いたっ、何で私までー。あ…ていうか、お兄ちゃんがりっちゃんに付き合ってあげてよ」
「えぇっ!」

真人さんよりも先に反応する私。

悠里は首をかしげて、真人さんは目を見開いていた。


「…何でもないで…」
「そうだな。俺も暇だし…仲介人になりますか」

「ええっ!?」
「あ、俺じゃ嫌?」

真人さんが困ったように首をかしげる。

私が首をブンブンと横に振ると、真人さんは口元を緩める。


「じゃーお兄ちゃんで決まりね!りっちゃんもこれで安心でしょ?」

悠里が私にくっついてニコッと笑う。

「うん。あの…真人さん、よろしくお願いします」

改めてペコッと頭を下げると真人さんはまた頭を撫でてくれた。

「りっちゃんの礼儀正しいとこ、俺好きだよ」

「え…?あの…」
「さ、今日はもう遅いから俺は部屋に戻るよ。りっちゃん詳しい事は明日話そう」
「あ…分かりました」
「じゃおやすみ」
「おやすみなさい…」

真人さんは部屋を出て行った。


見送りながら頭を触る。

心なしか、そこが熱い気がした。


「りっちゃん。どうかした?」
「ううん。何でもない…」


嘘。私、嘘ついた。


だって私…

今…すごく恥ずかしい。
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