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キセイジジツ
第1章 帰省
勢いよくカーテンを開ける。
明け方の空はほの暗く流れて
鳥達の鳴き声が寝静まった町をゆっくり起こしていく。
いつも見ている景色とは少し違って何だか気持ちが良い。
悠里は軽く両手を上げて伸びをしながら鳴らなかった目覚まし時計を見つめる。
「よく寝れなかったな…」
午前6時にセットしてたが、アラームが鳴る30分以上前に起きてしまった。
まるで遠足前日にわくわくしすぎて寝れない小学生だな…と自分に呆れながら時計のスヌーズボタンを解除する。
ベット横に置いたボストンバッグを見つめる。
荷物の準備は出来ている。
カーテンレールには昨晩から準備していた服が掛けてある。
淡いピンク色の生地に花柄が散りばめられたワンピースに白色のカーディガン。
「褒めてくれるかな…」
淡い期待をよそに姿見鏡にうつる自分を見つめた。
少しでも大人に近付きたくてアクセサリーボックスを漁る。
ーーーあった、これにしよ。
ハートのネックレスを手にしてかけようとするが爪が短くて上手く付けられない。
鏡と睨めっこしていると、コンコンコンとドアがノックされた。
「うーん、だれー?」
「ゆーり、準備どお?」
ドアが遠慮なく開き、ひょこっと自分にそっくりな顔が現れる。
「ゆーま!いいとこ来た!」
ん?と首を傾げている弟の悠真に手招きしてネックレスを渡す。
「お願い!付けて~」
「またかよ。不器用なやつ」
悠真は悠里の後ろ髪を片方へ寄せ、器用にネックレスを付けた。
「ほれ、出来た。もう出れんの?」
「ありがと!あと5分待ってぇ」
「りょーかい」
バタバタと部屋を行ったり来たりする悠里を見つめる。
ーーー今日は一段と気合い入ってんな。
悠里は身長はそこまでないが
出るとこは出て引っ込むとこは引っ込んでいて
手足も長くスタイルが良い。
漆黒の長い髪にくっきりとした二重瞼で
目尻はややつり上がっていて猫っぽい。
鼻筋がきれいに通り鼻もほどよく高く
やや太めの唇には色気を感じるホクロがひとつ。
そして極めつけは透き通るような肌の白さ。
ーーー男心をくすぐる見た目なんだよな。
どこからどう見ても悠里は自慢の姉だ。