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キセイジジツ
第12章 作戦
手洗いを済ませて居間に戻ってソファーに腰かけていると袋を手に長田が戻ってきた。
隣へ腰を下ろした長田は袋からアルバムを取り出す。
「俺の両親を紹介するよ」
そう言ってアルバムを開くと、若い男女の姿が写っていてご両親の若かりし頃のものだと気づく。
「あ…」
何よりも驚いたのは長田の母親の姿。
自然なブロンドの髪に茶色の瞳、透き通るような白い肌がか弱い雰囲気をまとっている。
日本人離れしているな…と言うより正真正銘、外国の方だった。
「驚いた?」
「はい。すごく」
ーーーそっか。だから長田さんって…
長田に対してどこか中性的なものを感じたのは外国の血が半分流れているからなんだと納得した。
「母さんの写真を見せるとみんな驚くんだ。俺って髪も瞳も黒いし全然ハーフっぽくないからさ、本当に母さんと血ぃ繋がってんのかって」
長田の表情は少し固くて無理に笑ってるように見えた。
「うーん…私はそう思いませんけど」
「え?」
長田が写真から私へと視線を移す。
「確かに長田さんは髪も瞳も黒ですけど、澄んだ瞳とか鼻筋とかフサフサのまつ毛はお母さんにそっくりだと思います」
「え…」
「それに中性的な雰囲気はお母さんの血が入ってるからなんだなーって納得です!ほら、この笑ってる顔とか長田さんにそっくりで……」
長田へと顔を向けると真面目な顔が待っていた。
「どうしてキミは…」
濡れたような瞳で真っ直ぐに見つめられて私はドキッとした。
そんな顔を見た事がなかったから。
「長田…さん?」
腕が持ち上がり手のひらが私の頬を包む。
「どうして…俺が欲しい言葉をくれるのかな…?」
顔が近づき少し開いた唇がため息混じりの言葉を吐く。
ーーー長田さん…
私を押さえてるのは頬に触れた片手だけで、逃げようと思えば逃げられるのに、そうはしなかった。
そっと唇が触れる。
長田の唇は柔らかくて気持ちが良い。
ーーーキス…してる…
目を閉じるタイミングを逃して目の前のまつ毛を見ていると、まつ毛が上がって視線がぶつかった。
頬を包んでいた手が後頭部へと回り、支えられながらソファーにそっと倒される。
長田は両肘や両膝で自分の体重を支え、唇以外の部分が私に触れないようにしていた。
優しい長田の背に手を回して、グイッとその体を引き寄せた。