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この出会いは…
第4章 変わりつつある気持ち
その日は琴莉と二人でバタバタしていた。
10月中旬の金曜日。
今日は美怜の誕生会を予定している。
定時を過ぎて私は仕事を終えて、その足で営業部のフロアに訪れていた。
「もう少しで終わるから!仕事が終わったら、滝本さん達三人と合流して、レストランに向かうから。」
計画を一つ一つブツブツ言いながらチェックしていた琴莉が私にそう言った。
「スタートは19時にしてあるし、急ぎなら優先して、ね?」
「いや、今日は絶対早く上がる!計画通りに実行しなくちゃ!そのために、昨日も一昨日も残業頑張ったんだから!」
琴莉は二ッと笑うと『じゃ、計画通りに!』と言ってデスクに戻って行った。
戻った席の斜め向かいに座る滝本さんが手を振ってくれたので、慌てて頭を下げてその場を後にした。
海外事業課に背を向け、フロア出口に向かって歩いていると、名前を呼ばれた。
「知花ちゃん!今日はもう上がれそう?」
振り返ると一ノ瀬さんが話しながら歩いてきた。
そうか、同じ営業部だった。
「あっ、はい。私はっ、もう…あっ、上がってからここに、来ました…ので。」
過去を知られてから顔を会わすのは初めてで、身体が強ばってしまった。
笑って答えているつもりだが、顔が引きつっていなかったかな。
「そうなんだ。俺も定時上がりは無理だったけど、もう終わるから!楽しみだね。」
一ノ瀬さんは今までと変わらない優しい笑顔と話し方だった。
「はい。よっ、よろしくお願いします。」
「うん、また後でね。」
ニッコリ笑って手を振り、『一ノ瀬〜!』と呼ばれた先へ戻って行った。
ダメだ…。
過去を知っている男の人と話すのは初めてだ。
心臓が気持ち悪いくらいうるさい。
わっ、私、今まで通りに話せていた?
10月中旬の金曜日。
今日は美怜の誕生会を予定している。
定時を過ぎて私は仕事を終えて、その足で営業部のフロアに訪れていた。
「もう少しで終わるから!仕事が終わったら、滝本さん達三人と合流して、レストランに向かうから。」
計画を一つ一つブツブツ言いながらチェックしていた琴莉が私にそう言った。
「スタートは19時にしてあるし、急ぎなら優先して、ね?」
「いや、今日は絶対早く上がる!計画通りに実行しなくちゃ!そのために、昨日も一昨日も残業頑張ったんだから!」
琴莉は二ッと笑うと『じゃ、計画通りに!』と言ってデスクに戻って行った。
戻った席の斜め向かいに座る滝本さんが手を振ってくれたので、慌てて頭を下げてその場を後にした。
海外事業課に背を向け、フロア出口に向かって歩いていると、名前を呼ばれた。
「知花ちゃん!今日はもう上がれそう?」
振り返ると一ノ瀬さんが話しながら歩いてきた。
そうか、同じ営業部だった。
「あっ、はい。私はっ、もう…あっ、上がってからここに、来ました…ので。」
過去を知られてから顔を会わすのは初めてで、身体が強ばってしまった。
笑って答えているつもりだが、顔が引きつっていなかったかな。
「そうなんだ。俺も定時上がりは無理だったけど、もう終わるから!楽しみだね。」
一ノ瀬さんは今までと変わらない優しい笑顔と話し方だった。
「はい。よっ、よろしくお願いします。」
「うん、また後でね。」
ニッコリ笑って手を振り、『一ノ瀬〜!』と呼ばれた先へ戻って行った。
ダメだ…。
過去を知っている男の人と話すのは初めてだ。
心臓が気持ち悪いくらいうるさい。
わっ、私、今まで通りに話せていた?