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第4章 変わりつつある気持ち

『俺の事も慣れて欲しいな。』

『つい、可愛くて。』

一ノ瀬さんに言われた言葉を思い出して、自分に都合よく解釈してしまいそうになる。
一ノ瀬さんはどうして、私にいろいろ親切にしてくれるのだろう。
私の事を…どう、思って…いるの、だろう。

一ノ瀬さんは私の過去を知っている…
という事はやっぱり…ど、同情…なのか、な？
美怜は違うって言ってくれていたけれど。
一ノ瀬さんは今まで通り接してくれているけれど。
直接、一ノ瀬さん本人からホントの気持ちを聞いたわけではないから、それが怖い。

私が男の人の立場だったら、レイプされた過去を持つ女はイヤだと思う。
男性不信でスキンシップにもいちいち気を遣うなんて、恋愛は望めないし、なにより面倒で仕方がないだろう。
いかに恋愛に向いていない面倒な女かは、自分が一番良く分かっている。

『迷惑だと思ったら、声をかけてないよ。』

『面倒なら、電話の前に帰ってるよ。』

いつかの一ノ瀬さんのあの言葉は本音だと信じていいのだろうか。
私の過去を知った後でも、同じように思ってくれているのだろうか。
同じ気持ちでいて欲しいと思ってしまっている自分がいる。
期待してしまっている自分が…
そんな自分自身が一番怖い。

頭まですっぽり布団にくるまって、目を瞑ってみても、頭の中で一ノ瀬さんの本音への不安、自分に恋愛をする資格があるかどうかの不安、自己嫌悪の無限ループで、なかなか眠れなかった。