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この出会いは…
第5章 告白
「はぁ、良かったです。金曜日、あの後、連絡がなかったので…」

「そうなの?まぁ、連絡がなかったってことは怒ってはないんじゃない?」

一ノ瀬さんは笑いながら、先程買ったのであろう缶コーヒーを開けて飲んでいた。
そう言えば、一ノ瀬さんはコーヒーだけ?

「あの…おっ、お昼…は…?」

「あぁ。午前中の会議が長引いちゃって。この後外出が続くから、コーヒーだけでも飲みに来たんだ。」

と、いう事はお昼ごはんは抜きなんだ。

「え、営業部は…ホントに忙しいですね。」

「まぁ、慣れたけどね。そろそろ行こうかな。」

「あっ、あの!」

一ノ瀬さんが立ち上がろうとしたところで、私は一ノ瀬さんを呼び止めた。
バッグの中に携帯用のカロリーバーが入っていることを思い出したからだ。

「もしっ、よかったら…。」

バッグの中をガサガサ探りながら私は続けた。

「これを!大豆が苦手じゃなければ…どっ、どうぞ。」

バッグからカロリーバーを取り出して、一ノ瀬さんに差し出した。

「いいの?ありがとう。」

少し驚いた顔をした後、フワリと笑ってカロリーバーを受け取った。

「午後も頑張れそう。ありがとね!」

一ノ瀬さんはそう言って、足早に部屋を出ていった。
営業部は確かにいつも忙しい様子だけど、一ノ瀬さんは特にたくさん案件を抱えているんだろうな。
前に星さんと会ったときも思ったけど、仕事が出来ると評価されている人ほど、忙しくても愚痴を言わないし、飄々としている。
琴莉も、おそらく、滝本さんも。
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