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この出会いは…
第6章 恋愛は癒し?
祐side↓

『その感覚が、分からない』

仕事ばかりの星にも癒しが必要だ。
確かにそう言ったはず。
"その感覚"が分からないと言うことは…

「心が…暖まるような、満たされるような…、優しい気持ちになれるような力が恋愛にはあるって事、ですよね?きっと…」

頭の中で考えながら、言葉を選びながら話しているのが分かる。
到着したエレベーターに乗って、エントランスまで降りる。
エレベーターを出ると、知花ちゃんがまた話し出した。

「昔、美怜にそういう事だと教えてもらったんですけど…」

繋いでいる手が微かに震え出した?

「私、ダメ…なんです。」

知花ちゃんが顔を上げたので目が合った。
その瞬間、フッと微笑んだ。
でも、その微笑み方は、寂しそうで悲しそうな、憂いを帯びた自虐的なものだった。

「私の中に、そういう感情を…拒絶している自分が、いて…」

微笑んだまま、目を伏せて、口角だけを更に上げて、話を続ける。

「なによりも、自分が嫌いで、大嫌いで仕方がないし…自分の事が嫌いなのに、誰かを好きになんて…なれるんでしょうか…」

「どうして…そんなに自分自身を嫌うの…?」

聞いてしまってから、後悔した。
知花ちゃんの手がピクッと反応して、震えがひどくなったから。

「だって、私は…」

話し始めた知花ちゃんの声の低さに、ギシッと心臓を掴まれた。
『だって、私は…』に続く言葉に、嫌な予感しかしない。
うなじの辺りがゾクリとした。

「……けっ、汚れてっ、ます…から。」

言い終わらないうちに思わず知花ちゃんを抱き締めていた。
聞きたくなくて。
そして、聞いてしまった自分を責めながら。
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