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この出会いは…
第6章 恋愛は癒し?
右手で涙を拭う。
手加減できずに、知花ちゃんを抱き締めていた時、感情を押さえていたつもりだったけれど、そんなものとっくに溢れ出ていたんだ。

俺が思い出させてどうするんだ。
どうしてあんな事を聞いたんだ。
どうしてあんな言葉を…言わせたんだ。

『汚れてますから。』

くそッ…
こんなに自分に腹が立ったのは初めてだ。
ちゃんと謝らなければ…
そう思った時、知花ちゃんが口を開いた。

「……面倒な女だって言いましたよね。」

腕の中から俺を見上げていた。

「過去に囚われて、自分に自信がなくて、未だに男の人を克服できてないのに、恋はしたい…なんて。」

話しながら視線を反らし、また悲しそうに微笑んだ。

「いろんな感情が複雑に絡まってしまって、矛盾していて…自分でも扱いに困ります。」

知花ちゃんの身体が震え出して、泣くのを堪えているのが分かった。
背中に回していた右手を知花ちゃんの頭の上に移動させて、優しく撫でた。

「我慢、しなくていいよ。」

「いち、の、せさっ…」

「全部受け止める覚悟をして、告白したんだよ。」

そう。同情ではない。
辛い過去があっても関係ない。
そんなものは今の俺にとって、知花ちゃんの存在価値に少しも影響しない。

「でっ、でも…私、さっき…みたいに、私の事で一ノ瀬さんを泣かせたくないんです…」

「え…?」

「さっき、泣いている顔を…見た時、辛くて…またっ繰り返すのか、と…」
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