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この出会いは…
第11章 繋がる
「ふふっ、もう降参?」

「…はぃ。」

そのまま、ぎゅっと抱き締められて、クスクスと笑い声が降ってきた。
かっ、からかわれているっ!
でも、身体がいうことを聞かないから、一ノ瀬さんの腕の中で息を整えるしかない。

「まぁ、今日のところは、これで許してあげる。」

「うぅ…、もぉ…寝ま、す…からっ!」

悔しくて、そう言ってみても、一ノ瀬さんの腕の中にいて、身体も力が入らないなんて。
案の定、一ノ瀬さんは楽しそうに笑うだけ。

カーテンの隙間からは、うっすらと光が差し込み始めている。

「さて。約束通り、寝ようか?」

一頻り笑った一ノ瀬さんが、私を抱き抱えたまま横になり、二人で布団にくるまった。

「おやすみ。」

もう一度、抱き締められて、腕の中から『おやすみなさい』と答えた。

お互い、スッと眠りについて、起きたのは9時半。
急いで支度をして、軽く朝食を摂って、お昼前には水族館に着くことが出来た。

「はい、手。」

目の前に差し出された手のひら。

「ふふっ。フラフラしてるから。」

「っ、な……」

腰の違和感は消えず、スタスタと歩く事が出来ない私は、やっぱり一ノ瀬さんにからかわれた。

でも、正直、それさえも嬉しかった。

私のこの身体の変化は、一ノ瀬さんを受け入れる事が出来たからこそで。
昨日の事を思い出すと、恥ずかしい事の方が多いはずなのに、嬉しくて、嬉しくて仕方がない。
"幸せ"という感情が溢れていた。
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