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この出会いは…
第12章 誕生日
浴衣に着替え終えた頃、計ったかのようなタイミングでごはんが運ばれてきた。
旅館の晩ごはんは部屋食で、一ノ瀬さんと向かい合ってゆっくり食べることが出来た。
次々と給仕される料理の全てが、繊細で上品な盛り付けで、目でも楽しめた。
もちろん、味も最高に美味しかった。

「ご馳走さまでした。」

デザートのシャーベットを食べ終えて、スプーンを置きながら呟いて、一ノ瀬さんと目が合った。

「お腹いっぱい?」

「はい!全部美味しくて、つい止まりませんでした。」

「ふふっ。確かに、いつもより食べてたね。」

少し声を大きくして答えた私に微笑んで、『良かった』と呟いた。
夕食を食べ終わっても、机に座ったままで、TVを見たり、今日撮った写真の画像を見返したりして過ごしていた。

コンコン

「失礼します。お膳をお下げいたしますね。その後、お布団は敷かせていただいてもよろしいでしょうか?」

まったりとしていたところに旅館のスタッフの方がやって来た。
布団…!!!
そうだよね、今日は隣で寝るんだもんね!
スタッフの方二人がテキパキと絶妙なコンビネーションで支度を始める。
お膳を下げ終わったら、机を少しずらして、布団を敷く準備に入る。
無駄な話をせずに支度に徹するスタッフの方の姿が逆に居たたまれない。

「あのっ、露天風呂を見てきてもいいですか?」

一ノ瀬さんの了承を得て露天風呂へ行き、外の風に当たった。
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