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この出会いは…
第13章 かけがえのない人
いつもより深くて荒々しいキスに頭が真っ白になる。
抱きつくと言うよりはしがみついて、そのキスに答えるけれど、もう腕が限界だ。

「ふぅっ…いっ、いちの、せさっ…んんっ!」

キスの合間に名前を呼んだ私に、一ノ瀬さんは覆い被さる様にして少し体重をかけて口を塞ぎ直して、優しく押さえつけてくる。

「すぐに呼び方が戻っちゃうんだから。寂しいな。」

あっ…名前っ!!!

「たっ、祐さん…」

「うん?」

「ごめんなさい、呼び慣れなくて…」

と言うか、恥ずかしくて…

「ふふっ、恥ずかしい?」

やっぱり一ノ瀬さん…いや、祐さんには私の考えている事はあっさりバレてしまう。

「じゃあ、これからはたくさん呼んで慣れてね?」

「えっ!?えっと…、はい……」

小さく囁くように返事をした私に満足したように微笑んで、祐さんは私の胸元に顔を埋めた。
始まった胸への愛撫に身体をよじりながら、両手で祐さんの頭に触れる。
その私の行動に驚いたのか、一度チラッと私の方を見た。

「…怖い?」

あ…、もしかして…
露天風呂で呟いた言葉を気にしてくれている?
もしそうなら、ちゃんと否定しなくちゃ!

「いえっ。祐さん、私…」

恥ずかしいけど、ここで目は反らせない。
祐さんの頬に触れて、話を続ける。

「怖くないです。し…幸せっ、です!さっきのは…露天風呂での言葉は、違うんです。」
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