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この出会いは…
第2章 いい兆し
"庇護欲"ね…
そうだな、"庇護欲を掻き立てられる"が正解だな。
自分の部屋の鍵を開けながら、星の言葉を思い返していた。

「最後に思いっきりバカにした顔しやがって…」

星への文句をブツブツ呟きながら、風呂に入った。
頭からシャワーを浴びて、目を閉じる。
浮かんでくるのは、真っ赤な顔をした彼女の姿。
俺を怖くないと言った顔。
またしても無意識に笑っていた。

「"慣れてない"、ねぇ…」

そういう事を、また、言っちゃうんだもんな…
慣れてないとはいえ、隙がありすぎるんだよな…
ただ、男を避けてきた理由はあるんだろうな。
痴漢に遭ってしまった時も、その後一緒に帰った時も、電車の中での彼女は青ざめて、必死に何かに耐えている様だった。
おそらく、恐怖や嫌悪感とか。

"庇護欲を掻き立てられる"のは、青ざめてフラつく彼女を見たせいなのか。
星に言われた言葉が頭に響く。
『好きなのは、知花ちゃん?』

シャワーを終えて、風呂場を出て、リビングに戻り、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ソファーに座る。
ビールを飲もうと缶に口を当てた時、携帯の着信に気が付いた。
画面はメールの着信を知らせていた。
何も考えずに開いたそのメールは知花ちゃんからだった。

"お疲れ様です。相原知花です。
一ノ瀬さんの連絡先を登録させて頂きました。
今日もご馳走になり、また、送って頂き、ありがとうございました。
一ノ瀬さんは、無事お家に着きましたか?
本当にありがとうございました。
おやすみなさい。"

これは、また事務的なメールだな。
それでも、自然に笑みがこぼれた。

祐side 終わり
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