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自己負担。
第5章 残ったもの
ずっと握っていたはずの手は冷たくなって
いつのまにか先輩の温もりは消えていた。
先輩があの日つけてくれた沢山の跡も、
一週間もすれば跡形もなくなっていた。
先輩と別れても
何一つ変わることはなかった。
次の日は普通に学校があるし、
友達だって何も知らないまま先輩の話をしたり
自分の彼氏の自慢をしたりする。
先輩も夢乃先輩とは別れずに、
むしろ前よりずっと夢乃先輩を大切にしているみたい。
自分の心が前よりもずっと傷つきやすくなったこと以外、
何も変わらなかった。
自分さえこの苦しみに耐えれば
先輩も夢乃先輩も
周りの人も
傷つくことはなくなるんだから。
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