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LOVE SCENE
第2章 シアワセ職人
スタイリストデビューのこの日は、先輩たちの予約がびっしりと入っていて、私にカットをする機会は訪れず、いつも通りアシスタントとしてシャンプーやブローに回った私だったが。
受付終了時刻ギリギリに飛び込んできた女性のお客様。
「あの、予約してないんですが…カット、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。ご指名はございますか?」
「あぁ良かった…。では、神崎さんに」
「はい?」
私を指名? なぜ?
シャンプーやカラーの指名を受けることはあるが、このお客様を施術した覚えはないのに。
カッチリとしたビジネススーツに大きな瞳が印象的。可愛らしい顔立ちとハキハキした話し方にはギャップがあって、でもそれが魅力的に見えた。
ご来店していれば覚えているはずだけど。