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LOVE SCENE
第2章 シアワセ職人
「…ふ、……ぐっ」
「一ノ瀬くんも結城さまも、髪型キマって嬉しそうだったよね」
「……はい」
「僕らの仕事ってさ、人を幸せに出来る幸せな仕事なんだよね」
「…はい」
「明日も誰かを幸せにしてあげようね。ミトちゃんの手で」
「はい」
「よし! それじゃ今夜はとっとと片付けて飲みに行っちゃおう! デビューのお祝いね」
そう言って店の扉を閉めた店長は、長い指先を顎にあて少し考える素振りをして
「僕は、ミトちゃんが頑張ってると幸せなんだよね」
「え?」
叱られるのが怖くて、うまく目を合わせられずにいたけれど、店長って結構イケメンだ。
そんなことをふと思って。
正面でぶつかった視線をパチパチとまばたきで逸らした顔が…あれ? 赤く見えますよ、店長?
「えええ?」
「早く片付けしちゃいなさい」という声を、私は慌てて追いかける。
雨の上がった歩道には、『FLOWER』のネオンサインが優しくキラキラと映っていた。
【from 初音さんの二十日間】