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戦国ラブドール
第19章 愛憎
歯列をなぞり唾液を交わせば、次第に大海は佐吉の手に堕ちていく。叫ぼうとしていた声は甘い喘ぎに変わり、突き放そうとしていた手は佐吉の着物を握る。足もいつしか暴れるのではなく、吸われるたびにぴくりと跳ねていた。
「――好きなだけ軽蔑するといい、俺の頭の中は、いつでもこんな事しか考えていない」
佐吉は大海の着物に手を掛けると、一気に胸を露わにさせる。近淡海から吹く風は冷たいが、大海の心臓は強く鳴ったままだった。
「お前を汚し日が越えるまでまぐわってしまえば、この醜い想いは消えるのかもしれないな」
「さ、佐吉、やめて……」
「俺を知りたいと言ったのはそっちだろう? やはり、口だけだったか」
「違っ……あ、んんっ」
胸を揉みしだかれ、大海は首を振りながら背を反らす。佐吉は大海が思わず零した涙を舌で掬い取ると、耳元で囁いた。
「こんな薄汚い男を、向こうは愛せると思うか?」
向こう、とはおそらく婚約者なのだろう。大海は混乱する頭で、必死に佐吉の言葉を受け止める。
「祝言を前に別の女を犯したいと思う男を許す、そんな人間がいると思うか?」