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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
 
「え? う、うん」

「それって、言葉通り抱き締めたんじゃなくて……半兵衛殿があたしと小夜を、その肉棒で挿したって意味だよね?」

 あけすけな姉の言い方に、小夜は頬を赤らめる。だが大海は赤くなるどころか顔を青くして、小夜の両肩を掴んだ。

「小夜、その男は、半兵衛殿じゃない!」

「――え?」

「半兵衛殿は、一年前病にかかって、男の機能を失っているんだよ! だから、半兵衛殿であるはずがないんだ!!」

 半兵衛が大海の方へ嘘をついている、とは考えにくい。紅天狗と内通するにおいて、わざわざそんな嘘をつく理由が全くないのだ。むしろ嘘をつけば、こうして矛盾が露見してしまう。知謀に長けた半兵衛が、わざわざ疑われるような嘘をつくとは考えられなかった。

「そんな……まさか。じゃあ、あれは誰だったの!?」

「小夜、ひとまずあんたは志麻さんのところに匿ってもらうんだ。あんたを騙したのが半兵衛を装った別人なら、事件はまだ終わってない! 半兵衛殿は、犯人に仕立て上げられたんだ!」

 大海は小夜にそう言い残すと、勢いで飛び出す。早く皆へ知らせなければ、真犯人の思うつぼである。皆がどこへいるかは分からないが、おそらくは紅天狗を尋問しているはずである。向かう場所は、大体見当がついていた。
 
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