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禁断の果実に口づけを
第10章 普通に憧れる洋子
ーー世の中で一番難しいのが普通ということなのかもしれないーー
休日の朝、一週間の疲れを取る為に睡眠を十分な取る。
冬を迎えて寒くなってくると、中々ベッドから出られない。
洋子も仕事が休みである土日には、ウダウダとしていたいタイプだった。
起きたい、起きなきゃという気持ちになるまでベッドの中に居る。
これといって特別な予定もない。
やりたい事すらない。
部屋が汚いのが堪えられないから掃除をする。
溜まった洗濯物をそのまんまにしたくないから洗濯する。
食事は敢えて作りたくもなかった。
わざわざキッチンを汚して料理をしても、食べてくれる人が居ないなら、虚しくなってそんな労力も使いたくない。
稼ぎはある方だから、わざわざ料理をする必要もない。
コンビニ、ファーストフード、ファミレスなど、自分の舌をそのレベルで満足させれば、それで終らせていた。
リフレッシュをはかる為に、人と会う事も億劫に感じた。
そんな洋子の憧れが普通なのだ。
周りを見渡せば、頭も良くなく、学歴無くて、男を頼らなきゃ生きてゆけない依存心を上手く隠している様な女の方が普通の幸せを手にしている様に見えた。
自分は頭は良かった。
それなりの学歴もあるし、それなりの地位ある仕事もし、収入もある。
なのに、幸せだなんて思えない。
毛布にくるまり、温かさは感じていても、やっぱり寂しいと感じてしまう現実をぼんやりと頭の中で考えていた。