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禁断の果実に口づけを
第10章 普通に憧れる洋子
駅前の屋台にたどり着き、スープの良い香りが漂う。
「いらっしゃい!」と声を掛ける、屋台のオヤジ。
「ラーメン二つと、こいつに熱燗一つ」
「あいよ!兄さんは飲まないのか?」
「おやっさんに言われたレディーファーストの実行」
「憎いねー兄さん」
「私、車で来たんだけど…」
「俺が送ってやるから、心配すんな」
「お姉さん、今日は兄さんに甘えなよ」
そう言って、ラーメン屋のオヤジは私に熱燗を渡す。
最初はしょぼくれたオヤジとしか見てなかったけど、優しい口調でありながら、時折鋭い視線になるのは、伸介の言っていた昔の面影を残しているからなのか………
元ヤクザと聞くと身構えてしまうが、このオヤジはどこか安心出来る雰囲気を持っている。
「じゃあ、遠慮なく……」
熱燗の味が喉に染み渡り、奥へと流されてゆき、お腹の中から湯気が立つかの様に体を温めてゆく。
ラーメンが出来上がり、私達の前に置かれる。
「今日は味玉をサービスしとくから!」
オヤジは笑いながらそう言った。
ラーメンを啜りながら、味玉を食べてみた。
「美味しい!」
「美味いだろ。
これには秘密があるからね」
「秘密?」