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禁断の果実に口づけを
第12章 週明けの女達
晴美の一言でまた女達は笑う。
「仕事で女を売っちゃあダメよ。
女の価値が下がるわよ」
『そんなに価値がある仕事かよ!?』
心底の翠の気持ちはこうだ。
「全く、北原さんの言う通りね。
仕事で女売るくらいなら辞めた方がマシよね」
『やるわけないじゃん!
そこまで情熱捧げられるかつぅーの』
真奈美の本音もこれだ。
「ノルマに追われても、そこまで追い詰められたくないわー」
『追い詰められる前に、辞めるさ!』
伊織、翠、真奈美の言葉にしない本音は、笑顔で隠す。
「そうそう。
地道が一番よ!
みんな良くやってくれるから、私も助かる。
どうせ女優になるなら、お客様の前でね。
『あなたの価値は私が保障します』くらいの情熱を演じてらっしゃいよ!
間違ってもAV女優になっちゃダメよ」
「ヤダー北原さんったら、AVまでやったらおしまいですよ!」
「そうそう!
私、脱げませーん」
『そこまでやるバカが居るかよ!
大体、そこまで体まで張れるくらいなら、わざわざ保険屋なんてしてないし!
違う仕事でもっと稼ぐよ!』
朋子以外の女達は同じ様な事を心にそれぞれ朗読していた。
「そうよ!そんな事しなくていいの。
お客様に誠心誠意尽くせば、結果がついてくるわ!」
ねぇ、朋ちゃん」
「えぇ、そうですよねー」
『私は体を売っているわけじゃないし、利用する術を知っているだけ!
引け目を感じる事もないわ。
第一、この中で私が飛び抜けた結果を出しているじゃない』
朋子は自問自答を心で呟いていた。
「ここは私が奢るわ。
午後からも頑張ってね!
年末の仕事納めまでラストスパートよ!」
晴美は気前良く、同じグループの後輩達の分をご馳走した。
「あっ、朋ちゃん、風間さんの資産運用の件はどうなったかな?」
「はい、それでしたら、水曜日に契約書頂いてきます」
「宜しくね!
助かるなー朋ちゃんみたいな優秀な子。
みんなも朋ちゃんに続こう!」
「はーい!」
と良いお返事はするが、行き先に困ってる子ばかりで、『使えねー』と心の奥底の声を口にしない晴美。
「ご馳走様でした!」
と女達は愛想だけはいい。