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禁断の果実に口づけを
第14章 勃発
「ねぇ、理一さん…
本当に上手く行くと思いますか?」
「上手く行かせるんです」
「大丈夫なのかしら…」
「一癖ある女性ですね。北原晴美さんは。
だけど、頭の良い女性でもあります。
いや、見え見えなところは狡賢いのかな?」
晴美と別れた後、優美子を車に乗せて自宅まで送り、ハンドルを握る理一は余裕な笑みを浮かべていた。
「見え見えって?」
「恐らく、優美子さんに近づいてきたのは計算ですね。
前々から社長や倉橋朋子の不倫に気づいていたんですよ。
偶然にしては出来過ぎなんですよ。
優美子さんに同情するふりをして、僕の存在までも聞き出しまたしね」
「ごめんなさい。理一さん。
ただ、週に一度、料理教室でお会いして、晴美さんが気さくな方だったから、すぐに仲良くなれたんです。
それに、健さんや会社関連の保険をたまたま直属の部下が担当しているって言っていたし、私の読者モデルをしている雑誌も読んでくれていて、『優美子さんとお近づきになりたかった』なんて言われて……
悪い気がしなかったんです。
私が自己主張出来る場所なんて限られてますから。
晴美さんは私の話を親身に聞いてくれて、相談にも乗ってくれました。
誰かに理一さんとの事を打ち明けてみたかった。
愚かですよね…」
「愚かじゃないですよ。
現に事は上手く運んでいるじゃないですか!」
「ならば一層、騙されたと思って彼女の提案に乗ってしまいたい。
夫と私の間は冷えきってます。
あの人がいい夫を演じて外に女を作るなら、私だって理一さんと…」