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禁断の果実に口づけを
第15章 メリクリ
フワッと目の前に何かが舞ったかと思えば、その後、ギュッと包み込まれる感触が身体に走った。
「ししし……伸介!?」
伸介に私は抱きしめられている……。
「今日はメリクリだから、洋子にもプレゼントしてやる」
「なっ、何よ……調子狂うじゃない!!」
「馬鹿!黙れ!ムードねぇーな!
だから、お前はダメなんだよ。
調子狂わされてんのは……
俺の方だ!
今日のお前には優しくなっちまうんだよ!
だから、少し黙ってろ!」
「伸介……」
「やっぱ、お前の身体は温かいわ」
『湯たんぽ代わりかよ…なんて可愛げのない言葉を言って離されたくないな。
だって、今日はメリクリだもん!』
夢でも幻でもいい。
人通りの少ないパーキングで抱きしめられてもいいじゃん。
まだまだ可愛げなんて私からは滲んでもこないだろうけどさ…
たまにはヒロインになりたい日もあるよ。
性愛だとかセフレだとか割り切りだとか……
そんな言葉で示されてしまう様な関係でも、温もりのない場所にいつまでも縋らない。
いつか終わりが来る日まで、この場所を動けない恋だってするさ。
そんな恋もいいじゃん!!
抱き寄せられて、チュッと触れる様な軽いキスを受ける洋子。
少し酒臭い伸介から受けた初めてのキス。
唇を離したくないから洋子は目を閉じて、伸介の唇に自分の唇を近づけた。
『メリクリなんだから、おねだりキスをせがんでもいいよね?』
「キス欲しいのか?洋子」
「調子狂ったついでにして…」
「メリクリだからな」
ハァハァと白い息を吐きながら、二人の唇は重なり合った。