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禁断の果実に口づけを
第16章 砂の城
「ウフフフ 有難うね」
「当たり前の事だろ!
俺は経営には自信があっても、真雪程の才能はない。
真雪と組めばファッション界に飛躍出来ると確信した」
「だから、飛躍の為に健に無理させたんじゃないかって思うわ」
「無理?」
「健の女遊びが始まったのは結婚してから。
学生の頃は真面目で、いつか自分の会社を築いて真雪のデザインをこの世に羽ばたかせるなんて言ってくれたさ…
凄く、わたしの支えにもなったの。
健は本当に約束を叶えてくれた。
だから、わたしは一生健についてゆく覚悟よ」
「ならいいじゃないか?
真雪が深刻な顔をするから、一瞬焦ったよ」
健は真雪にもう一度、グラスを傾けて乾杯をしょうとした。
真雪が鋭い目つきで健を見るので、グラスを一旦置く。
「福袋、喜んでくれたかしら?」
「あっ、アレな。多分な」
「そう、それは良かったわ」
真雪は曖昧な笑みを浮かべた。
「どうかしたのか?」
「健が不倫相手の子供の為にわたしにプレゼントを見繕わせるなんて初めてよ。
意味あんのか?なんて思ったけど、健の優しい昔みたいな笑顔を久々に見たわ。
その女に本気(マジ)なんだって」
「真雪…」