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禁断の果実に口づけを
第16章 砂の城
健の左頬を優美子は叩いていた。
【パチン】という音がリビングに響く。
「何なの?あなた?
今、今になって?今頃?
どうしてよ!
何で今なのよ!
どうして、あなたにそんな事を言われなきゃいけないの!
どれだけ………どれだけ…
私が今までどれだけ我慢してきたか想像つきますか?
女と浮気を繰り返され、あなたには大事にしているふりをされて…
周りからは幸せな奥さんだと言われ続け、それを維持する為に、そんな風にしか振る舞えなかった私の気持ちが分かりますか?
どれだけ、私が惨めだったか想像つきますか?
あなたは私なんて最初から好きじゃなかった。
父の立場や財力目当てだったんでしょ!
私はあなたを愛していたから結婚したのよ!
その気持ちに微塵の嘘もなかった。
あなたに愛されたいと願ったわ。
でも、あなたはいつも違う方ばかり向いていた。
私じゃない、違う女ばかり!
そんなあなたから別れたいなんて言われたら、死にたくなるほどの屈辱よ!」
興奮した優美子が一気に健をまくし立てた。