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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて

健が会社に行った後、怒りがおさまらない優美子は唇をわなわなと震わせながら、自分の部屋に戻り、理一に電話を掛けた。
何度掛けても留守電のアナウンスが流れ、連絡が取れない。
健に言われた事が蘇り、発狂しそうな程の悔しさが込み上げた。
『なんで、私がここまで言われなきゃいけない!』
『ずっと堪えてきた私が、何故別れを切り出されなきゃいけない!』
『事が上手く運んでいる今言われなきゃいけない!』
『まさか…
理一さんとの事を気づいている?
そんな事はない。
私達は上手くやっている。
それに、あの人は私になんて興味はない。
あの人がずっと私にしてきた事じゃない!
でも……もし気づいていたら……
上手くいくものも上手くいかなくなる。
不倫は何回したかの回数じゃない。
したか、しないかで問われる事』
そんな時、優美子のスマホが鳴る。
理一からの着信だった。
慌ててスマホを手に取り、通話ボタンを押した。
「もしもし 優美子さん」
「理一さん!」
優美子は叫ぶ様に理一の名前を呼んだ。
「何かありましたか?」
「……理一さん……理一さん……どうしましょう……私……」
「落ち着いて下さい。優美子さん」
優美子は何を何処から話していいのかすら混乱していた。
動揺を隠しきれない。

