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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
「……あの人に離婚を切り出されました。
理一さん…あの人、私達の事気づいているのかもしれません…」
受話器の向こうで一瞬固まる理一。
「とにかく、落ち着きましょう。
私達は社長の横領の証拠も不倫の証拠も握ってます。
僕と優美子さんとの事を握られているわけではないんですよね?」
「……それは分かりません。
でも、何か確信があるから、いきなりあんな事言ってきたのかもしれません」
「そうかもしれませんが………
僕からも様子を伺ってみます。
大丈夫です。
すぐに手を打ちますから、優美子さんは安心して下さい」
「でも、理一さん…これから私はどうしたら……」
「ならば、社長の不倫相手に犠牲になって貰いましょう。
こういう時の為に自分達を守る保険になって頂くんです。
事実、一千万円の掛け金の保険に入り、その女の会社に金が動いているんです。
優美子さんは夫を利用された悲劇の人妻なんですよ。
動かぬ証拠を叩きつけてやるんです。
そういう時の為に駒を用意してあるんじゃないですか。
優美子さんが心を痛める必要はありません」
「……本当に大丈夫なんですか?」
「優美子さん。
散々、社長に裏切られてきた復讐をするなら今なのかもしれませんよ?
このまま、社長の言うがままに離婚に応じていいんですか?」
「………イヤです」
「なら少し待って頂けますか?」
「………はい」
「僕が居ます。
優美子さんは一人じゃありません。
僕は最後まで貴女の味方です」
「理一さん…」
優美子はどん底まで突き落とされた気持ちの中で、理一という一筋の光を見出していた。