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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
「申し訳ありません。横澤様。
今、保険の業界も大変厳しい規則が御座いまして、これ以上の事は契約者様以外の方にお話する事が出来ませんので」
「それじゃあ仕方ないですね。
お忙しい中お時間取らせて申し訳ありませんでした。
では、わたしはこれで失礼します」
銀縁眼鏡の痩せ型で神経質そうな外見の横澤英雄がニヤリと冷たくも馬鹿にした様な笑いを残して帰っていった。
朋子は応接室に呼ばれた時からネチネチと遠回しな物言いに嫌悪感を抱いた。
『ならば、風間様本人から聞いたらどうですか?』と何度も言いそうになったが、その言葉を発する事はグッと堪えた。
健にとって余り良い事が起きてない事は手に取るように分かったからだ。
そして、健と朋子の関係に関しても、知っていながら遠回しな探りを入れてきた事も直感出来た。
不安が過り、嫌な胸騒ぎがする朋子。
応接室を出ると、北原晴美が朋子を待ち構えていた。
「朋ちゃん!!
一体、何があったの!!」
横澤が帰った後、心配を装いながら朋子に駆け寄る晴美。
「………私は、風間さんの契約したものを風間さんの許可なしにお話する事は出来ないとお伝えしました」
「あら、なら問題ないじゃない。
びっくりしたわ。
応接室に呼ばれたなんて言うからさ、何かあったのかと思ったわ。
でも、風間さんの会社の経理の方が来たのよね?
どうしちゃったのかしら?
………まさか、その一千万って風間さんのものじゃなくて、会社のお金だったとか?」
晴美はニヤけてしまいそうな自分を抑え、朋子を心配する姿勢を崩さない。
『頭の悪い朋ちゃん。
教えてあげるよ。不倫の代償ってやつをね』