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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
応接室のドアをノックし、頭を下げて入る洋子。
それに続く様に入ってゆく朋子。
「お待たせして大変申し訳ありません。
只今、所長が会議の為席を外しておりまして、私が代わりにお話を伺わせて頂きます。
秋山と申します」
丁寧に頭を下げて挨拶をし、自分の名刺を優美子に差し出す洋子。
優美子は立ち上がり、洋子から名刺を受け取る。
「所長代理の秋山さんですね。先程、経理の者を伺わせましたが、埒が明かないので様なので、直接わたくしがお話を伺いに参りました」
「そうでしたか……。
あっ、風間様、お掛けになって下さい。
私達も失礼させて頂いても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
洋子と朋子は一礼し、優美子とテーブルを挟んだ向かい合わせの席に並んで座った。
あくまでも低姿勢の洋子。
朋子はガタガタと震えてしまいそうな自分を抑えるのに精一杯だった。
一生面識がないと思っていたはずの風間優美子が、今、目の前に居る。
その時点で自分が不利な立場に置かれている事は余儀なくされていた。
優美子は、怒りの篭った瞳をこちらに向けていた。
細身でシックな感じの黒いベルベットワンピース姿が、まるで戦闘服の様にすら思える程、迫力がある。
朋子にとって針のむしろの様な時間が訪れた。