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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
一部始終を遠目で見ていた洋子。
「倉橋さん」
洋子は朋子を呼んだ。
朋子は頭がぼんやりとしながらも洋子の席まで歩いてゆく。
「風間様は倉橋さんのお客様なのよね?」
「………ご主人様はお客様です。
会社関連の保険も担当してますが……」
「先程、会社の経理の方が見えていた様だけど、どんなお話だったんですか?」
「奥様から保険内容を提示する様に電話があったそうですが、契約内容は契約者様の承諾の元でしか提示出来ないと伝えました」
「失礼のない対応だったんですよね?」
「はい」
「それなのに、今、奥様がいらっしゃっているのですね?」
「……はい」
「今、所長は席を外してます。
私が代わりにお話を伺いますので、倉橋さん用意して下さい」
「秋山代理、私が倉橋さんとお話聞いてきますよ」
晴美が身を乗り出してきたが、洋子はそれを止めた。
「北原リーダー、所長が不在の場合は私が対応するのが筋です。
同じグループの倉橋さんを心配なのは分かりますが、責任者を出せというのでしたら、それなりのクレームを覚悟しないといけません。
話してみないと何とも言えませんが、この場合は私が対応するのが適切な判断だと思いますが」
「そうですね。
では宜しくお願いしますね。
私じゃあ、クレーム対応も力及ばないかもしれませんしね」
折角、目の前で面白いものが見れそうだったのに、洋子に邪魔をされ、ムッとする晴美。
それでも、朋子を心配する姿勢をあくまでも崩さない。
応接室の前まで見送り、朋子の肩を叩き、
「朋子ちゃんは悪い事してないのだなら、堂々としてればいいの!ファイトよ!」
優しい口調の裏に悪意を上手く隠した。